物流コストを削減したいと思っても「どう削減したらいいのか、具体的に何をしたらいいのかわからない」と頭を抱えている方もいるのではないでしょうか。
コスト削減するためにはコストの内訳と高騰している理由を理解し、適切に対策する必要があります。
そこで、物流コストを削減させるアイデアを7つと成功例を紹介します。コストを削減したい物流会社の方は必見です。
物流コストとは?
「物流」という響きから輸送に関する費用のみと感じる方もいるでしょう。
物流コストとは商品を製造から販売先まで移動させる際に発生する費用のことで、輸送費・保管費・管理費・人件費など、さまざまな要素で構成されています。
コストを抑えるためには、これらの要素の中から削減できる部分を見つけて対応していくことが必要です。
物流コストの種類
物流コストは大きく分けると「調達」「販売」「静脈」の3つに分けられます。ひとつずつ詳しくみてきましょう。
調達物流コスト
調達物流コストは原材料や部品を仕入れる際に発生する費用です。調達する際に発生する人件費も含まれる場合があります。
販売物流コスト
消費者に製品を届けるためのコストが販売物流コストです。卸売業者や販売店、小売業者やECサイト、消費者の手元に届ける費用が含まれます。
静脈物流コスト
静脈物流コストは消費された後の製品をリサイクルしたり、処分したりするための費用のことです。
製品自体や容器のリサイクルや廃棄処分するまでの一連の物流活動のことで、資源の有効活用と環境負荷の低減が大きな目的です。
さらに、製品や資源の再利用ができる点で調達物流のコスト削減ができたり、廃棄物処理の費用をおさえることが可能となります。
物流コストは高騰している
物流の需要は増加傾向にあり、物流コストが高騰し続けています。
高騰する理由には以下の3つが関係しています。
- 人員不足
- 燃料費の高騰
- 需要の増加
日本国内では物流の仕事が過酷というイメージが強く、労働人口が減っているのが現状です。
車に限らず、船や飛行機といったあらゆる物流手段の燃料も値上がりしていることから常に同じ料金というわけにはいきません。
労働人口が減り、燃料代の高騰により輸送費用が高騰している中で、さらに状況を圧迫しているのがニーズの増加です。
インターネットの普及により、個人でも国内外を問わず買い物や取り寄せができるようになりました。さらに、新型コロナウイルスの影響を受け、通販の需要が拡大しています。
輸送する製品のサイズも輸送先も多様化し、時間指定などの細かなニーズが増えたことにより、配送に関するコストも増え続けているのです。
需要は増え続けているにも関わらず、対応する人口が減っている状態が続いているため、物流コストは高騰の一途を辿っています。
物流コストを削減させるアイデア7選
物流コストが高騰する中、削減が重要な課題となっています。
しかし、物流コストは人件費・輸送費・家賃や管理費用と多岐にわたるため、どこから手をつければいいのかわからないという方も多いはずです。
そこで、コスト削減のアイデアを7つ紹介します。
物流業務を効率化する
まずは、以下の点が効率よく稼働できているかを見直してみましょう。
- まとめて輸送することができるものはないか
- 不要な作業や輸送が発生していないか
- 発注ミスによる在庫過多や追加の繰り返しが起きていないか
- 作業をIT化できるかどうか
業務の一部にITを取り入れることで、人件費や作業時間の削減が可能です。
しかし、効率化するためにはIT以外にも扱う製品に適した保管方法かどうかの見直しやマニュアルの制定、在庫の適正管理が必要です。
どのコストが削減できるかを今一度確認してみましょう。
倉庫内の環境を改善する
倉庫の維持には広い土地や建物に対する家賃、光熱費や人件費が必要になるため、大きなコストになり得ます。
倉庫内の製品の保管方法などを見直すことで倉庫の広さや在庫の量を適正に保つ事が可能です。
また、管理や梱包のルールを明確にすることでムダな作業を洗い出すこともできます。
最小限の在庫しか抱えないようにする
コスト削減においては多くの在庫を抱えないという選択も重要な考え方です。
在庫は多ければ多いほど良いというわけではありません。
在庫をたくさん抱えると多くの場所が必要となり、管理するコストが発生します。
また、在庫を探しピックアップする作業にも時間がかかったり、棚卸しをしたりなど、無駄な費用や手間が発生します。
そのため、適正な量を効率よく回転させていくことが必要です。
配送拠点を集約する
配送拠点はできるだけ集約し集中させましょう。
ムダな輸送が減るだけでなく、倉庫の維持費を削減できたり人員配置にも余裕が生まれたりします。
物流単価を見直す
物流単価は世界情勢や労働人口に左右されるため、現在の価格が適正水準であるか定期的に見直すことが必要です。
物流単価の見直しは輸送費や倉庫の家賃など物流に関わる全ての場面で行うようにしましょう。
人件費を見直す
スタッフの人数や給与は適正か、常に見直し続けると良いでしょう。
人件費についてもただ削れば良いということでもありません。
あくまでも、効率よく適正な業務遂行が可能かどうか考慮し、定期的に見直しを行いましょう。
物流業務をアウトソーシングする
アウトソーシングを視野に入れることも、コスト削減に繋がる1つの方法です。
発送の代行などを請け負っている業者はスピーディーな作業や発送だけでなく、蓄積されたノウハウによるリスクへの対処や回避方法にも長けています。
アウトソーシングすることで輸送だけでなく、在庫管理や発送準備にも対応してくれるので、大きな助けになります。
しかし、アウトソーシングした方がコストがかかる可能性もあるため、しっかりと検討することが重要です。
物流コスト削減成功事例
次に、物流コストの削減に成功した事例についてみていきましょう。
在庫管理システムを利用して物流コスト削減
初めに紹介するのは在庫管理システムを導入してコスト削減に成功したA社についてです。
在庫管理システム品目と在庫数が多かったA社は、管理や輸送時に度々ミスが起こっていました。
在庫管理システムを導入し、入出荷の管理や保管場所の管理を専用のシステムで管理したことによって紛失や返品を減らすことに成功したのです。
さらに、今まで手動で行っていた棚卸や保管場所の管理をシステム上で行えるようになり、人件費も削減され、コスト削減に成功しました。
自社で在庫を管理するには場所・時間・人手が必要ですが、一連の作業に専用の管理システムを活用すれば確認漏れや作業時間の短縮も可能となります。
物流拠点を集約して物流コスト削減
2つ目に紹介する事例は物流拠点を集約してコスト削減に成功した機械メーカーです。
輸送先の重複に気づいた機械メーカーは納品先などを考慮し、5箇所だった拠点を3箇所に集約しました。
倉庫の賃料・人件費・施設を管理するための諸費用など大きなコスト削減に成功。
トータルコストを20%削減することができたのです。
このように、製品の管理や保管を行う物流拠点は、多ければ良いというわけではありません。
各拠点からどこへどれだけの荷物を出荷しているのか、顧客の分布や賃料など、あらゆる面から分析することで物流拠点を決めるのがおすすめです。
物流拠点の集約は移動量や輸送費、賃貸料などを減らすことができるため、さまざなコストの削減が可能となります。
アウトソーシングで物流コスト削減
最後に紹介する事例は、アウトソーシングでコスト削減に成功したM社です。
配送ミスや在庫管理でのミスに悩んでいたM社は内部で行っていた配送や梱包、在庫管理などを専門の外部組織にアウトソーシングしました。
プロフェッショナルに依頼したことでミスや損害が減っただけでなく、教育にかかるコストの削減にも成功したのです。
利用のために費用がかかりますが、自社で行うよりコスト削減ができる可能性があります。見積もりなどでどちらがコスト削減になるのかを検討してみてください。
まとめ
物流コスト削減のアイデアをまとめると以下のとおりです。
- 業務の効率化
- 環境の改善
- 在庫を最小限にして、拠点を集約する
- 物流単価を見直す
- 人件費を見直す
- アウトソーシングする
共通するのは、無理に自社で物流に関する作業を全て賄う必要はないということです。
成功事例では管理システムの導入やアウトソーシングを活用しています。
自社では難しいところだけをアウトソーシングすることも可能なため、予算や内容に合わせて依頼するのが良いでしょう。
物流コストを削減することで、企業は利益を向上させることができます。
今回紹介したアイデアを参考に、物流コスト削減に取り組んでみてください。