運送・物流業というと、トラックや船・飛行機の運転手を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに、運転手は運送・物流業の顔といえる存在です。しかし、運転手だけでは運送・物流業は成り立ちません。業務をサポートする事務部署や、営業部署などの存在もあって運送業は成り立っています。
この記事では、そんな運送・物流業の営業方法に着目して解説していきます。運送業に興味のある方や現在運送・物流業に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
【アウトバウンド】運送会社の営業方法2選
アウトバウンドセールスは、営業側から顧客側へ働きかける営業方法のことです。既存顧客や見込み顧客に対して商品やサービスを売り込んでいくため、プッシュ型営業ともいわれています。テレアポや飛び込み営業が代表的な手法です。
ひとことでアウトバウンドセールスといっても、事前に電話でアポを取るテレアポと、顧客にアポなしで直接訪問を行う飛び込み営業といったように、商材や業界に合わせてさまざまなスタイルをとることが可能です。
テレアポ・飛び込み営業、それぞれの特徴を見ていきます。
テレアポ
テレアポは、事前に営業先に電話をかけてアポイントを取り付ける営業方法です。アポを取ったうえで営業をかけるので、飛び込み営業のように門前払いにはなりにくいです。また、アポを取った状態で担当者と話すので、他の営業方法と比べて成約率にも期待が持てます。
一方で、自社のサービスに興味や需要がない相手に連絡を入れてもアポイントが取れない部分が弱みです。むやみやたらに電話をかけるのではなく、相手企業が自社のサービスを必要とするのかを考えたうえで電話をしていくとうまくいきやすいです。
飛び込み営業
飛び込み営業とは、事前にアポイントを取らずに相手のところに直接営業に行く方法です。相手の方とフィーリングが合って営業が上手くいけば、その場で成約を得られる可能性もあります。
しかし、飛び込み営業を歓迎している企業は非常に少ないため、興味の有無以前に話を聞いてくれないケースが多いです。
興味を持ってくれた企業に対して、アポを取ったうえで営業に向うほうが成約率も高いと考えられます。
【インバウンド】運送会社の営業方法6選
インバウンド営業とは、アウトバウンド営業の逆で顧客側から企業側へ働きかける営業方法のことです。顧客に自社サービスへの興味を持ってもらうために、広告やイベント、セミナー等でリードを得られる機会を作っていきます。
アウトバウンドよりも取れる施策の幅が広いので、自社の状態や商品の特徴に応じて使い分けすることが可能です。以下にアウトバウンド施策を6つまとめました。
ホームページを作成する
ホームページの作成はインバウンド営業を行う上でも必ず行いたい施策の1つです。自社コーポレートサイトだけでなく、商品やサービスのサイトも作成するとより高い効果が見込めます。アウトバウンドでは、見込み客の多くがホームページにアクセスするため、ホームページが無いと見込み顧客をみすみす逃がすことにつながりかねません。
そのため、見込み顧客の興味を引くようなホームページの作成が求められています。自社サービスの情報をわかりやすく掲載し、また問い合わせをしやすいように問い合わせページをしっかりと作り込んでおくこともポイントです。
自社ブログを作成する
ホームページだけでなくブログを運営することもアウトバウンドの方法の1つです。ブログでは、自社サービスに関連したキーワードをもとに記事を投稿することで、顧客からのアクセスを集めます。
ホームページ内にブログを開設することで、記事からホームページへのアクセス数の増加を狙うことが可能です。アクセス数の増加を図るために、SEO対策を行った記事を継続して投稿すると効果的です。
見込み客にDMを送る
既存顧客や見込み顧客へDMを送るのもアウトバウンドの方法の1つです。
手あたり次第発送するのではなく、見込みのある客・潜在顧客をターゲットにDMを送付することで、成約に近づきます。
その際には、相手の需要を精査した上で文面を考え、特典などを盛り込むことでより高い訴求効果が得られるかもしれません。
SNSで情報発信をする
SNSはホームページと同じくらい、もしくはそれ以上に重要な媒体です。近年では、SNSから顧客確保をする企業も増加しており、どの企業にも欠かせないものとなっています。
SNSの強みは拡散力なので、目立つ投稿ができれば拡散により半自動的にマーケティング活動を行うことが可能です。アカウントを作成して投稿するだけなので、ホームページやブログを作成するよりも取り掛かりの難易度が低く、誰でも取り組みやすいのがメリットです。
オンライン説明会を開催する
オンライン説明会を開くことで、見込み顧客の情報を手に入れることが可能です。また、無料で開催できるうえに、準備自体も簡単なので高い費用対効果を望めます。
ホームページやDMを使ってオンライン説明会を開催する旨を伝えてから開催することで、多数の見込み顧客が説明会に参加をします。コロナ禍でオンライン化が進んだ今では、対面説明会よりも多くの人を集められる手段として注目度の高い手法です。
マッチングサービスを利用する
マッチングサービスは、サービスを探す顧客とサービスを提供する企業とをマッチングさせてくれるサービスです。比較Bizやアイミツなどのサイトが挙げられます。
マッチングサービスでは、自社のサービスに対して需要のある顧客を見つけることが可能なので非常に効率的です。また、資料請求を通してメールアドレスや名前、法人名といった顧客情報も入手できるので営業の幅が広がりやすくなります。
運送会社のアウトバウンド営業のメリットとデメリット
運送会社において、アウトバウンド営業を採用するメリットとデメリットは何でしょうか。項目ごとに詳しく解説していきます。
アウトバウンド営業のメリット
アウトバウンド営業のメリットとして以下のようなものが考えられます。
- 営業先を決めることができる
- 潜在顧客を見つけることができる
- それぞれの顧客に向き合うことができる
営業先を決めることができる
メリットの1つ目は、営業先を決めることができるという点です。顧客へ直接アプローチするアウトバウンドでは、自社のサービスに関連した企業を相手に営業をかけていくことが必要になります。
あらかじめターゲットにしやすい企業を絞っておくことで、効率的に営業をかけられるのはアウトバウンドの強みです。
潜在顧客を見つけることができる
2つ目に、潜在顧客を見つけられる点です。顧客からのアプローチを待つインバウンドとは異なり、自社サービスを知らない潜在顧客にも営業をかけることができます。
インバウンドの場合は、サービスや会社について知ってもらうところからスタートです。当然サービスを知っている人からしか問い合わせはきません。一方、アウトバウンドなら企業側から顧客へとアプローチできるため、潜在顧客に向けてすぐに営業を行えるという強みがあります。
それぞれの顧客に向き合うことができる
アウトバウンドは、電話や対面で顧客と直接やりとりを行うことが可能です。
直接やり取りを行うことによって顧客それぞれの要望を汲み取りやすくなるため、より効果的な提案ができます。その結果、成約率の向上も期待できるのです。
アウトバウンド営業のデメリット
アウトバウンド営業のデメリットは以下のとおりです。
- 営業効率が悪くなりやすい
- 成約が営業マンのスキルにかかっている
それぞれ詳しく解説します。
営業効率が悪くなりやすい
アウトバウンド営業のデメリットとして、営業効率が悪くなりやすいという点が挙げられます。
サービスを必要としていない企業にも営業をかけなければなりませんし、何よりもすべての営業先にアプローチするのに時間が取られてしまいます。
アウトバウンド営業が主流な業界ならば問題ありませんが、効果が薄い業界やサービスならば無理してアウトバウンドにこだわらないようにしましょう。
成約が営業マンのスキルにかかっている
アウトバウンド営業では、営業マンと顧客のやりとりが成約を決める大きな要素となっています。そのため、成約できるか否かは営業マンのスキルにかかっているといっても過言ではありません。
製品の良さをプレゼンするだけでなく、顧客との距離感を近づける術や相手の潜在ニーズを引き出す術などさまざまな能力が問われます。
成約率の向上のためには、営業マンのスキルを高める施策が必須です。
運送会社のインバウンド営業のメリットとデメリット
運送・物流会社において、インバウンド営業を行うメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。アウトバウンド営業との使い分けや組み合わせ利用ができるように、しっかりと確認していきましょう。
インバウンド営業のメリット
インバウンド営業のメリットには、例として以下の3つが挙げられます。
- 成約率が高い
- 営業効率が良い
- 幅広い顧客を狙うことができる
成約率が高い
インバウンド営業では、見込み顧客を獲得してから商談に移るため、アウトバウンド営業と比較して成約率が高いという特徴があります。
少なくとも顧客が自社サービスに興味がある状態なので、非常に効果的な営業方法といえるでしょう。
営業効率が良い
インバウンド営業では、自社サービスに興味がある顧客が問い合わせをしてくるところから営業活動が開始されるため、成約率が高めになっています。
アウトバウンド営業では移動などで無駄な時間が多くなりがちですが、インバウンド営業では無駄な時間を減らして効率的に営業をかけていくことができます。
幅広い顧客を狙うことができる
営業に割けるリソースが限られているアウトバウンド営業に比べ、自社媒体の強化がメインのインバウンド営業では、直接営業をかけていくため幅広い顧客を狙うことが可能です。
SEO対策で工夫をすることで、ターゲットとなるユーザーを適宜変更・拡大することもできるので、顧客層に縛られにくいというメリットもあります。
インバウンド営業のデメリット
インバウンド営業のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 集客するにはマーケティングスキルが必要
- 効果が出るまでに時間がかかることがある
集客するにはマーケティングスキルが必要
インバウンド営業では、自社媒体の影響力アップのためにWebマーケティングの知識やSEOのノウハウが必要です。
これらはだれでも身に着けることはできますが、身に着けるまでに時間がかかる点と、身についていても必ず成功するとは限らない点には注意しなければなりません。
効果が出るまでに時間がかかることがある
最短で当日に成約を取れるアウトバウンド営業とは異なり、インバウンド営業では効果を感じるまでに時間がかかることがあります。
インバウンド営業では自社媒体の強化を図ることが多いですが、Webを介した営業だと効果が出るまでに一定の時間を要します。そのため、即効性のある効果は望めないと考えておくことも必要です。
営業代行サービスに外注するのもあり
中小規模で営業力の弱い会社は、営業代行サービスを利用するのもおすすめです。営業のプロが動いてくれるので、自社で営業人員を抱えるよりも効率的な集客が期待できます。
また、営業人員を外注できるため、人件費を抑えることができるという効果もあります。営業がうまく行っていない場合には、営業代行の利用を検討するのも良いでしょう。
営業で成約につなげるためのポイント
営業で成約を得るために覚えておきたいポイントがあります。ここでは、以下の4つのポイントについて詳しく解説します。
- 様々な営業方法を組み合わせる
- 自社の強みをアピールする
- 見込み顧客との関係を深める
- 成約までの導線を設計する
さまざまな営業方法を組み合わせる
複数の営業方法を組み合わせることで、幅広い営業が可能です。
自社のホームページやSNSでリードを得ながら、ネットに弱いブルーカラー系の業界にはテレアポも行うと良いでしょう。複数の営業方法を組み合わせることで、最大限の効果を発揮できるでしょう。
業種や顧客によっては飛び込み営業が効果的に働く場合もあるので、各営業方法のデメリットだけを見るのではなく、強みを生かして営業をしていくことが大切です。
自社の強みをアピールする
成約につなげるために欠かせないのが自社サービスの強みをアピールすることです。
他社サービスとの違いや、自社サービスの強みをアピールしていくことで成約を勝ち取りに行きます。自社サービスの何が顧客に刺さるかを考えながら営業をしてみましょう。
見込み顧客との関係を深める
見込み顧客との関係を維持し、深めていくことも大切です。ホームページやSNSで自社の様子を伝えていくのはもちろん、見込み顧客に定期的なDMや電話で関係性を継続できると営業の成果につながることがあります。
関係が終了してしまっては営業の成果には繋がりにくいので、まずは関係を維持していくことを心がけましょう。
成約までの導線を設計する
成約につなげるための営業フローを設計することも重要です。
SNSから問い合わせができるフォームを用意したり、テレアポを利用してスムーズに商談につなげたりと、成約に向けての勝ちパターンが作れると営業体制の強化に繋がります。
顧客の立場に立って、成約したくなるような営業フローを設計しましょう。
まとめ
この記事では、運送・物流会社の営業方法について解説をしました。
それぞれの良さを把握したうえで、顧客属性に合わせた営業方法を取って行くことが大切です。顧客によっては、複数の方法を組み合わせて営業活動を強化することも必要になるでしょう。
それぞれの営業方法が持つ特徴やメリット・デメリットをしっかりと把握することで、自社サービスの業績も向上できるでしょう。