輸出取引の消費税が還付されるって本当?輸出免税の仕組みや消費税還付の手順について解説

輸出取引の消費税が還付されるって本当?輸出免税の仕組みや消費税還付の手順について解説

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輸出取引では、消費税が還付されるケースがあるのは知っていますか。その理由は、輸出取引における消費税が免税されるからです。すべての輸出取引が消費税還付の対象ではありませんが、条件が一致すると輸出取引の消費税が還付されます。

この記事では、輸出取引の消費税還付される条件や会計処理方法について解説します。輸出取引等の会計処理担当の方などは、ぜひ参考にしてみてください。

消費税の基礎知識

消費税が課税される取引とは、国内での取引や海外から商品を輸入する場合を意味します。国内での取引は商品販売をはじめとする、対価を得て行われる取引などが対象です。

ここでは、消費税が課せられる条件と消費税の計算方法の詳細を確認しましょう。

消費税が課せられる条件とは

消費税が課せられる条件は、国内取引と輸入取引に限られます。

国内取引の場合に消費税が課せられる条件としては、次の4点すべてを満たすものが課税対象です。(引用元:国税庁

  • 国内において行う(国内取引)である
  • 事業者が事業として行うものである
  • 対価を得て行うものである
  • 資産の譲渡・資産の貸付け・役務の提供である

国外で行われる取引や、資産譲渡などに該当しない取引は非課税取引です。輸入取引の中にも、一部非課税対象になる取引もあります。

また、保険事故にともなう保険金や助成金が課税対象外となるケースが多いです。

消費税の計算方法

消費税の計算方法は、次の通りです。

【売上で受け取った消費税 - 経費で支払いした消費税 = 納税する消費税】

例えば、ある会社が売上で受け取った消費税が500万円、経費で支払った消費税が300万だとしましょう。

【500万 - 300万 = 200万(税務署に納税する消費税)】です。

上記の数式の「売上で受け取った消費税」の部分が、国外の輸出取引で得た売り上げである場合にはゼロになります。そのため、経費で支払った消費税を引くと納税額はマイナスになります。このようなケースで、消費税の還付が発生するのです。

消費税の輸出免税とは?

消費税の輸出免税にはどのようなケースがあるのでしょうか。

輸出取引の免税理由としては、以下の2点があげられます。

  • 輸出する商品には消費税がかからない
  • 輸出取引には消費税がかからない

それぞれ詳細を確認していきましょう。

輸出する商品には消費税がかからない

輸出する商品は、国外での取引となるため消費税はかかりません。国税庁では、輸出取引の免税の概要を次のように定めているからです。

”事業者が国内で商品などを販売する場合には、原則として消費税がかかります。

しかし、販売が輸出取引に当たる場合には消費税が免除されます。これは、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。”

(引用元:国税庁

上記の理由から輸出は国外での取引となり、課税対象とはならないのです。

消費税がかからない輸出取引とは

先述のとおり、消費税は国内取引や輸入取引の一部が対象になります。輸出事業のみを行っている事業者は、売上の際に国内の消費税が発生しません。

輸出の免税対象になる企業取引は次の2パターンがあります。

  • 通常の輸出
  • 免税店での販売

それぞれ詳細を確認しましょう。

通常の輸出取引

企業にとって通常の輸出取引とは、次のような取引です。

  • 国内から輸出される物品や資産などの譲渡・貸付
  • 非居住者に対する譲渡・貸付・サービスの提供

国外で行われる取引は、輸出取引といって消費税が課せられません。

非居住者とは、日本に住所や住居を所有していない方を意味します。外国人であっても、日本国内に住まいを持っている方であれば、国内で取引する場合免税対象にはなりません。

免税店での商品販売

免税店の商品販売も消費税免除の対象です。免税店で、非居住者に対し免税対象商品を一定の方法で販売した場合に消費税が免除されます。

免税対象商品とは、日常生活で使用される物品が対象です。また、同じ免税店が同じ非居住者に対して1日で販売したものを指し、免税される金額は以下のとおりです。

【非移住者対象の免税対象商品と金額】

対象商品 金額
食料品・化粧品など(消耗品) 5000円以上50万円以下
家電製品・カバンなど(消耗品以外) 5,000円以上

消費税の還付を受けるための条件とは

輸出消費税の還付を受けるには、単純に輸出取引があれば還付を受けられるというわけではありません。次の3つの必要条件があげられます。

  • 課税事業者である
  • 輸出取引が証明できる
  • 消費税の確定申告を行う

詳細を具体的に確認しましょう。

課税事業者である

輸出消費税の還付を受けるには、課税事業者であることが必要です。免税事業者・新設法人・簡易課税を選択している事業者の場合は還付を受け付けられません。

下記の届出書で変更が必要です。

届出書名 注意事項
簡易課税を選択の事業者 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 簡易課税2年継続後に変更可能
免税事業者・新設法人 消費税課税事業者選択届出書

簡易課税を選択中の方は、簡易課税期間2年後から変更が可能です。提出時期も適用を受けようとする課税期間の初日前日までとあるため、期間が決まっている方は注意しましょう。

輸出取引が証明できる

輸出消費税の還付には、輸出取引が証明できる書類も必要です。輸出取引の区分によって、関係する書類を整理し、納税地などに7年間の保存が必要です。

必要な書類は以下の通りです。

  • 輸出許可書
  • 税関長の証明書
  • 輸出の事実を記載した帳簿や関係書類(Invoice・Packing Listなど)
  • 発送伝票の控え
  • 契約書

輸出取引で消費税は免除になりますが、仕入費用には課税され消費税などの額が含まれています。さらに、輸出に必要な経費なども含まれている場合があるため、仕入れ税額の控除に必要な書類として保管が必要です。

消費税の確定申告を行う

課税事業者は、売上が一定金額を超えると消費税の確定申告が必要です。一定金額とは、期間中に課税売上が1,000万円以上であることを指します。

事業者が納める消費税を計算して確定申告書を作成し、税務署へ申告すれば消費税の確定申告が完了します。

消費税は税金を負担する側(消費者)と納税者(事業者)が異なり、事業者は消費者から預かった消費税を消費者の代わりに申告することが必要です。

事業者側でも、仕入れの際に消費税を支払います。実際に、消費者から預かった消費税から、仕入れで支払った消費税を差し引いた金額を申告・納付します。

輸出の際の消費税還付の手続き方法

輸出の消費税の還付は、課税事業者が一定期間に所轄税務署長へ書類を提出することで手続きが可能です。期間は、事業者の種類によって異なります。

還付を受けるためには、次の要件が必要です。

  • 「消費税還付申告に関する明細書」を税務署へ提出
  • 輸出を証明する書類の保存(保管期間:7年)

輸出を証明する書類とは、輸出取引の項で解説した必要書類(契約書や輸出許可書など)のことを意味します。

消費税還付を受けるため、輸出証明の書類の提出はありません。しかし申告書の提出後に、追加資料の提出を税関から求められる場合があります。その際に輸出したことを証明する書類が必要です。

輸出取引に関する消費税が還付された場合の会計処理

輸出の消費税還付には会計処理も必要です。消費税還付金額の会計処理には2種類の方式があります。

  • 消費税込み方式
  • 消費税抜き方式

輸出の消費税還付に必要なそれぞれの方法を確認しましょう。

消費税込み方式

消費税込み方式は輸出の場合、還付金額の確定時に還付金額の仕訳を未収金(左:借方)、雑収入(右:貸方)とします。

未収金とは未収入金、雑収入とは本業以外の収入の意味です。雑収入には、助成金などの受取や祝い金などが含まれています。雑収入は収益の増加なので、振り分けは貸方側です。

還付金が入金されたとき、仕訳の未収金を現金預金(左:借方)に振り替えます。

例)消費税税込み方式

  • 消費税の還付金額確定時:未収金 ××万/雑収入 ××万
  • 消費税の還付金入金時:現金預金 ××万/未収金 ××万

消費税抜き方式

消費税抜き方式は、仕訳の分け方は次のとおりです。消費税抜き方式は、還付金額確定時の仕訳が1段階増えています。

まず、仮受けと仮払い消費税を削除し、消費税申告書の作成で依頼した還付金額を未収入金とし、貸借の差額は雑収入に計上します。

例)消費税税抜き方式

【消費税の還付金額確定時】

仮受消費税 ××万/仮払消費税 ××万

未収金 ××万/雑収入 ××万

還付金が入った際に、未収入金を現金預金に振り替えるのです。

【消費税の還付金入金時】

現金預金 ××万/未収入 ××万

まとめ

輸出取引の消費税還付される条件・方法・会計処理方法などについて詳しく解説しました。輸出取引は、国内取引と異なり消費税が発生しません。そのため、仕入時に発生している消費税が還付される可能性があります。

まとめると、輸出の消費税還付には次のような条件が必要だとわかりました。

  • 1000万以上の課税事業者である
  • 輸出取引の証明書の保存(保管期間:7年)
  • 消費税の確定申告
  • 還付の手続き

輸出取引で消費税還付の手続きを行うと、不正がないか税務調査の可能性が高まるといわれています。理由は、税務署が還付手続きに非常に慎重だからです。資料を求められたときに速やかに提出できるよう、輸出に関係する書類は大切に保管しておくようにしましょう。

この記事でお伝えした条件に該当している場合には、輸出取引による消費税還付の手続きをぜひご検討ください。

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